夫が面白そうな本を読んでいたので、私も読んでみました。
一見、主婦と接待は関係性がなさそうですが、おもてなしという点で取り入れたい部分がいくつもありました。
著者について
田崎 真也(たさき しんや)
ソムリエにとどまらず、講演会・イベント・本の執筆等、幅広くご活躍。料理レシピも多数紹介。(NHKきょうの料理など)
公式サイトはこちらです→ソムリエ田崎真也オフィシャルサイト
本の概要
難しく考えがちな「おもてなし」を分かりやすく解説しています。
「もてなし」の真の意味を理解し、技を知り、経験を積み重ねることで、だれでも身につけることができます。
おもてなしの心を解説した後、実践編として接待編とデート編があります。接待編では田崎流接待術も紹介されており、特にワインの選び方や量に関して詳しく紹介されています。
デート編では女性の経験談から男性が改善すべきポイントを解説してあります。経験談はリアルで面白いですよ。
心に響いた3つのポイント
- もてなしのトライアングル
- お金を払うのが接待ではない
- 「好きなもの食べて」はホスト役を放棄
順にご紹介します。
もてなしのトライアングル
おもてなしとサービスの違い
友人を自宅に招くときを想像してみてください。
まず、料理・おやつ・飲み物などを考えますよね。好きなもの・苦手なものも考慮します。もし友人が自宅に泊まる時は、布団や歯ブラシ・タオルなども準備しますよね。
招く友人に楽しんでもらえるよう、そして快適に過ごしてもらえるように色々考えて準備をします。この場合、もちろん友人からお金を受け取ることはしません。(手土産をいただくことはあるかもしれませんね)
これがおもてなしの原点です。
一方、ホテルやレストランが料理を作る・飲み物を提供する見返りに代金を支払うシステムが「サービス」です。
「もてなし」=「ホスピタリティ」は無償ですが「サービス」は有償なのです。
もてなしのトライアングル
ところが、店にもてなす作業を委託した途端に、自分もゲストの一人だと勘違いするから、おかしなことになってしまう。
サービスを提供している店が、ゲストをもてなしているわけではありません。ホストであるあなたのお手伝いをする執事だと思ってください。ですから、ホストであるあなたは、サービスの作業の対価として、店にお金を支払うのです。
それは、館の主が、執事に給料を払うのと同じです。
もてなされる「ゲスト」、もてなす「ホスト」、ホストの手足となって働く「サービススタッフ」からなる「もてなしのトライアングル」が本書ではよく出てきます。
三者がそれぞれの立場を理解し動くことによってもてなしのトライアングルが成立し、お互いに貴重で有意義な時間を過ごすことができます。
本来はホストの役割であるのに自分もゲストだと勘違いしてしまうとホスト役がいなくなってしまい、いい接待にはなりません。 おもてなしとサービスの違い・自分がトライアングルのどの立場かを理解する、この2点が大切ですね。
お金を払うのが接待ではない
会社のお金を使って自分も一緒に楽しもうなどという考えは、捨て去るべきです。
ホスト側は、ゲストの大切な時間を自分が預かっていることを、忘れてはいけません。「いい時間をすごせた」とゲストに思ってもらえる努力をすべきです。そのためにゲストに対して気を配り、尽くし、思いやる。これらが「接待」の最低限の心構えであり、義務です。
(中略)
お金を払うんだからそれでいいじゃない、という考えに基づくふるまいでは、ゲストは帰り際に「ごちそうさまでした」といっても「楽しかったです」とはいわないでしょう。
接待が成功したかどうかは、帰り際に「楽しかったです」といわれるかどうかにあります。
お金を払うことも確かに相手のためにしていることですが、相手を思いやる気持ちを大切にしたいですね。仕事に関する接待にかかわらず、プライベートでも「楽しかったです」と言われるおもてなしをしたいです。
本書には7つの接待ベタフレーズが載っています。そのうち3つをご紹介しますね。
◆いい席を頼むよ
→店側は悪い席を作っているような気持ちは全くありません。しかもいい席かどうかはお客さんの好みによりますよね(中央がよい、端がよい、個室がいい、半個室がいいなど)。
◆この店、僕も初めてなので
→料理やサービスの質がわからないお店に大切な顧客を連れてくるのはおかしいですよね。ゲストに対して失礼です。
◆あの店にいけば安心して任せられる
→一見、ホストとしての責任を果たしているように聞こえますよね。しかし根底にはホストはお金を払いさえすればいいという思い込みが潜んでおり、ホストの役割を放棄していることになります。
「好きなもの食べて」はホスト役を放棄
ある女性の声です。
カッパ巻き男
彼に、結構ちゃんとしたお寿司屋さんに連れていってもらいました。それはよかったんですが、「なんでも食べていいよ」といわれて、一応、気を遣って赤身を頼んだら、彼は、いきなりカッパ巻きを注文。「これ、大好きだから」といって。
その時点で、頭のなかが真っ白になりました。すごくいたたまれなくなって、消えてなくなりたい感じ。「君は何を食べてもいいんだよ」と優しくいわれましたけど、「あなたがカッパ巻きを食べている横で、私はトロとか頼めないでしょ」といいたくなりました。
回転寿司のように価格がはっきりしているお店ならば本当に「なんでも」食べられそうですが、値段のわからない寿司屋では怖くて頼めませんよね(笑)。このような時はホストである彼が旬のお勧めは何かなどを板前さんに聞き、彼女が食べやすい雰囲気を作りましょうと著者は述べています。
接待同様、デートでも「楽しかった」と言われるのが理想ですね。
まとめ
この本を一言で言うと「おもてなしの心と技術を知るための本」といえるのではないでしょうか。
おもてなしというと難しく考えてしまいますが、相手を思いやる気持ちに技術が加わったものと考えると少し楽になりませんか?
相手を思いやる気持ちは既に持っていれば、あとは技術です。技術は本を読んだり実践することにより身につけられますよね。
もてなしで大事なのは、人の気持ちを知り、人を気遣うことです。
お金をだすことがもてなしではありません。こんなに高い、有名店に連れてきてあげたということで、もてなしが完結したと思っている男性が非常に多いのですが、それは違います。
男性には耳が痛い話でしょうが、女性にも言えることです。友人や他人だけでなく身近な家族に対しても、おもてなしを忘れずに接していきたいですね。
それは自分も楽しく暮らせることにつながるのではないでしょうか。
本書はこちらです。
2016.2.4追記
この記事がきっかけで「ここちよく流れる」の kei さんが本書を読んでくださいました。オーストラリアにお住まいならではの kei さんの視点はとても新鮮で勉強になりました。ありがとうございます!
おもてなしのココロと技術を学ぶ:田崎真也さんの「接待の一流~おもてなしは技術です」を読んで | 本だな | ここちよく流れる
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