ブログを書く時、コメントをする時に語彙力の乏しさを感じていた私は、夫が借りていたこちらの本を読みました。
目次
著者について
斎藤 孝(さいとう たかし)
明治大学文学部教授。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。
テレビ・ラジオ番組にも数多く出演されています。
サイトはこちら→齋藤孝のホームページ
本の概要
語彙力にはビジネス・プライベートを含めた、人生に大きな影響を与える力があると著者は考えています。
なぜ語彙力がそのような力を持つのか、そして語彙力をアップさせる具体的な方法が紹介されています。
より多くの語彙を身につけることは、手持ちの絵の具が増えるようなものです。
(中略)「すごい」「やばい」「なるほど」「たしかに」ばかり使う人は、8色の絵の具しか持っていない人。
一方で、200色の絵の具を使える人は、あまねく表現を駆使して相手を動かせます。部下にかける言葉も、自己アピールの言葉も、ビジネスでの商談も、プライベートな雑談も、「200色」の彩りをもって表現できるようになる。当然、それに伴って、あなたが受ける評価も大きく変わっていくでしょう。
心に響いた3つのポイント
- 知性と語彙のレベルは1分でバレる。
- 語彙力アップゲーム「ポイント3つ挙げ」
- 強い「伝えたい」が言葉を選ぶエネルギー
知性と語彙のレベルは1分でバレる
言葉はミニマムではいけない
著者は20年以上にわたり明治大学で教鞭をとってきたことから、1分でもプレゼンを聞けば、その学生の語彙力レベルがわかるようになったそうです。
判定基準は「複数のことがらをひとつの言葉で表現しようとするか否か」 です。
少ない語彙で表現することは、たしかに便利です。言いたいことはなんとなく伝わりますし、わざわざ難しい表現を使わなくとも、コミュニケーションは成立します。
(中略)
ただし、その便利さと引き替えに、あなたは「本当の自分よりも低いレベルに見積もられてしまう」という大きな代償を支払っています。というのも、人は無意識のうちに語彙を通じて「相手のレベルや知性」を判断しているからです。
ビジネスの現場では、
- 語彙不足のせいで第一印象が悪い →「この人のことをもっと知りたい、また会いたい、一緒に仕事をしたい」と思われなくなる
- 部下や後輩から →「部長はどうも言うことが浅い」と軽んじられる
という可能性があります。
この部分を読み、私は子供に話す時に似ていると感じました。年齢に応じて、理解できるだろうという言葉を選ぶのではないでしょうか。同じようなことが無意識とはいえ、大人の間でも行われていたのですね。
語彙力に関してはミニマムではなく、豊富であればあるほど良さそうです。
しゃべり方にも注意
最近では、アナウンサーが喋るスピードが速くなっているそうです(1分間に300語程度→350語にも)。「早口」傾向にある現代では、語彙と話すスピードで4属性に分けられます。
- 語彙が豊富で早口 → ドラマ「リーガルハイ」的。現代日本に求められている
- 語彙は豊富でゆっくり → 説法やお別れの挨拶など。人を諭すときにも用い、言葉に厚みが出る
- 薄っぺらい早口 → 浅薄な印象を与える。くり返しばかりで内容がまったくない
- 薄っぺらくてゆっくり → 頭が悪い印象を与える。
皆さんはどのタイプでしたか?
ちなみに私は4だったので、語彙を増やして2を目指します(早く喋るのが難しいです)。
語彙力アップゲーム「ポイント3つ挙げ」
本書にある、語彙力アップゲームをご紹介しますね。
ゲームを始める前に2つの準備をします。まず、自分が頼りがちな語彙を見つけます。
「頼りがちな語彙 = 便利な表現」です。例えば「すごい」「素敵」「面白い」「なるほど」といった言葉から、「わかる」「それ、ありだね」というフレーズも含まれます。自分のクセは「好きな言い回し」というより、完全な逃げだと著者は言います。
自分にとって便利な表現がわかったら、それを「NGワード」にします。
NGワードを別の言葉で言い換えるのが語彙力アップゲームです。コツはポイントを3つ挙げることです。
- 「”すごく” いい企画だね」→「具体的には?」→「市場の穴をついているし、コンセプトが明確でいいね。それに、ちゃんとコストが計算されている」
- 「この肉じゃが、”おいしい” ね」→「具体的には?」→「ジャガイモがほっくりしているし、甘さがちょうどいい。それに、出汁の染み方が絶妙だね」
いかがでしょうか?何が「すごく」、何が「おいしい」と具体的に表現することで、より自分の思いや感動が相手に伝わりそうですね。
ただ、NGワードを一切口に出さないことで、淡泊なイメージを持たれることもあります。感動を伝えたいときには要注意。グルメ番組でも、まず「おいしい!」と喜んで感情を表現して、そのうえで具体的な長所を挙げるのは定石のトーク術。この「おいしい!」がないと、視聴者に「あれ?ほんとうは口に合っていないのかな?」と思わせてしまうのです。
「おいしい!」「すごい!」「なるほど!」という素直な気持ちを表現することで親近感が沸くこともあると思います。場面や相手によって使い分けをし、感情を表現した後に具体的な言葉を続けるのがよいのではないでしょうか。
強い「伝えたい」が言葉を選ぶエネルギー
著者は2014年度の明治大学の卒業式で、卒業記念講演を任されました。その時に自分のエネルギーを伝えるだけでなく、卒業生・学校関係者からもエネルギーを引き出して2万人のエネルギーを集めたいと考えました。
人のエネルギーを引き出す鉗子は言葉しかない、と思い至ったのです。
私が用意したのは、「明治ですからっ!」というキーフレーズ。私が「元気だね~」「根性あるね~」などと言ったら、「明治ですからっ!」とみんなが叫ぶ。立ち上がった2万人の声が武道館に響き渡って、ものすごい熱気でした。
2万人の「明治ですからっ!」、想像しただけで一体感が伝わってくるようですね。
「伝えたい」という強い想いが、もっとも響く言葉を選ぶエネルギーになり、そのエネルギーが思考と語彙に刺激を与え、ストックにある言葉が「すぐに使える」状態になります。
すると自然と言葉があふれ、「人を動かすアウトプット」になっていくのです。
この部分はブログを書く上で、とても大切だと感じました。
1対1で目の前にいる人には、言葉だけでなく言い方や態度でも自分の思いを伝えることができるでしょう。しかし、ブログのように相手の顔がわからなかったり大人数が相手の時には、やはり伝える手段は言葉しかありませんよね。
もちろん私は今までも、伝えたい・役に立ちたいという気持ちで書いてきましたが、「強い想いが自分の中にある言葉を引き出す」という考えはありませんでした。
これから意識していきたいです。
まとめ
この本を一言でいうと「語彙力は人生を楽しくするためのツール」と言えるのではないでしょうか。
紹介されていた語彙力を鍛えるための具体的な方法です。
- インプット → 毎日の読書、インターネット検索、良質なテレビ番組など
- アウトプット → おうむ返し、音読と素読、四コマ漫画で要約力アップなど
語彙力増やすということは、赤ちゃんが言葉を覚えることや、外国語を学ぶ時に似ていると感じました。初めて外国人と簡単な英語でコミュニケーションが取れた時、うれしくてもっと勉強したいと思われたことはありませんか?
語彙力をアップさせてもっと広い世界を見てみたい、と感じさせる本でした。
本書はこちらです。
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